もう5年も前のことなのか。
マリノスがJ1リーグの優勝を逃した次の年、フォワードとして矢島卓郎と共に伊藤翔はマリノスにやってきた。
矢島は背番号9番、伊藤は16番。
その背番号から察するにマルキーニョスが去った後のワントップとしてフロントは矢島に期待をしていたのかも知れない。
そもそも、伊藤翔はツートップでのシャドータイプ。
彼がマリノスのワントップで活きるのか?という声もサポーターの中にはあったのは覚えている。
しかし、今となってはマリノスのワントップに翔さんがいることが至極自然で安心感があり、どんなに厳しい状況でも翔さんはきっとやってくれると期待する自分がいる。
2014年の開幕デビューで翔さんはほれぼれするようなスーパーミドルシュートで試合を決定づけるが、その後はかなり苦しんだ印象。
それでも矢島が怪我を繰り返す中、伊藤翔は慣れないワントップを任され続けた。
そして徐々にワントップの自覚が芽生え必要となる技術が身に付き、この年の終盤は彼に随分救われることになる。
怪我や病気をしても長引くことなく復帰し、ポストにも貢献し、周りを使うことも厭わない。
毎年のようにフロントが連れて来る外国人助っ人と切磋琢磨しながらまさにマリノスが求めるワントップの技量を磨き続けてきた。
特筆すべきは戦術理解度の高さ。
監督が変わっても、求められるものの多くを体現出来る選手であったからこそ翔さんは成長を続けられたのだと思う。
フォワードは30歳からと誰が言った。
2019年のマリノス、翔さんがいなくなるなんて考えても見なかったし、益々重宝されたに違いない。
脂ののった期待のエースを失うのはつらいなんてもんじゃない。
それでもプロである本人の選択を尊重するのがサポーターのさだめである。
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