【和田昌士のこと】

【和田昌士のこと】

もしかするとそういうニュースがあるかも知れないという覚悟はできていたのだけれど、いざ発表されるとそこにプロの本当の厳しさを感じずにはいられない。

2015年のプレシーズンマッチ vs松本戦。
やってきたばかりのエリク・モンバエルツ監督がその初戦でワントップ起用したのは当時まだ17歳、2種登録の和田昌士だった。
もうシーズンが始まるというその時にマリノスの前線の選手は怪我やら病気やらで壊滅状態で、監督としてこの若いホープに白羽の矢を立てたというわけではなくその選択肢しか残されていなかったというのが実際のところだろう。
ただ、マスコミやファンの中にはこれをポジティブに受け入れる人たちも少なくなかった。
和田はアンダー世代で常に日本代表の中心的存在だったし、マンチェスターシティへの練習参加にも派遣される逸材。
実際にゴールを奪うことは出来なかったけどこの試合の中でも他のメンバーと遜色無く連携、躍動し17歳とは思えぬキレとプレイにファンは期待を膨らませる結果となった。
試合後キックオフF・マリノスの放送で学生服でインタビューに応えるそのおぼこさに魅了されたママさんサポーターも少なくなかったと聞く。

翌年、和田昌士は夏に活躍した遠藤渓太と共にトップ昇格。
この年の新体制発表PVは日産スタジアムでの開催となり、寒風吹き荒ぶメインスタンドから二人のコントを見学し妙にほっこりしたのを覚えている。
マリノスに入団するまでは和田昌士の知名度は遠藤渓太よりも圧倒的に高くファンからの期待も明らかに昌士が上だっただろう。
しかしどんなにゴールを決めれなくてもエリク・モンバエルツが辛抱強く使い続けたのは遠藤渓太の方だった。

この世界プロになってなかなか機会を与えられず消えてしまう選手は山ほどいるけれど和田昌士という選手の話をする時にどうしてもユースでの華々しい活躍を思い起こさずに居られないし、二俣川から一緒だった遠藤渓太とセットで見てしまう。
ファンの一部にでもそんな記憶があることが彼らにとっては残酷なのではと心配してしまう。

二人は旧友でありライバルであることは今でも変わってないと思っているしこれから和田昌士がどのような道を進むのかは知らないけれど、まだ、もう少しだけ和田昌士のプレーを観ていたいと思う自分がいる。

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