松橋力蔵コーチのこと
2017年の新体制発表会は、どこか、空気が張り詰めていた。
身を切る覚悟で推進していたクラブ改革の真っ最中、実際に起こっていたハレーション、面白おかしく書き立てるレベルの低いマスコミの対応が相まって、ファン・サポーターは不信感と不安、そしてほんの少しの期待にすがりながらこの日を迎えた。
微妙な緊張感と居心地の悪さがあったのは、むしろ自分達サポーターがその時のマリノスのフロントにコンフィデンスな気持ちを持ちきれなかったことが原因であることは今だからわかることだけれど、そんなファン・サポーターを前にフロント・スタッフはどんな気持ちで、対峙していたのだろう。
新任となった古川社長は、そのシンプルなスピーチで安心感を与えたけれど、チームに問題があることを認識していると肯定した。
利重統括本部長は、外資を渡り歩いてきたとは思えないほど緊張した面持ちと語り口だったのも忘れられない。
そんな中で、日清オイリオの小林常務の横浜とマリノスを心から応援する語り口と、松橋力蔵のトップチームコーチとしての力強い覚悟が強烈にポジティブな印象として心に残っている。
苦しい改革を乗り越えて優勝を経験することができた今だからわかることが多い。
松橋コーチは、トップチームの選手側の立場として重要な歯車であり、改革実現のピースとなったのだ。
あの状況の中で選手の気持ちや言葉に耳を傾け、チームを鼓舞し続けた松橋さんがいなければ、この改革はとん挫していたに違いない。
ひとつの大きな山を乗り越え、次の道を歩むことになったけれど、マリノスに対する愛は変わらないだろうと信じている。
小机フィールドの見える土手を歩くと、そこに誰もいなくてもいつも松橋コーチの選手への激が聞こえてきそうだ。
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