<長谷川アーリアジャスールへの手向け>
2024J3リーグの最終節は始まる前から、消化試合の感は否めたなった。
第37節が終わった時点で1位・2位と3位の差は大きく離れ、3位~6位もほぼ確定的、最下位、そして、J3プレーオフに回るチームも確定している。
この」試合に挑むほとんどのチームが来シーズンに向けた目標を掲げていたのではなかろうか。
家族から家の留守番を任された小生は、マリノス関係者が多く出場する、相模原vs鳥取戦をDAZNで観戦することにした。
今節、相模原では高野とレンタル中の植田啓太がスタメン出場するのはわかっていたが、鳥取に在籍する長谷川アーリアジャスールがこの試合をもって引退をすることを、試合開始の実況解説で初めて知った。
思えば長谷川アーリアジャスールは水沼宏太より確か1学年上だったか、もうそんな年齢になるのかと少し驚く。
チーム力的には鳥取よりも相模原が上であることは間違いなく、中でも、植田啓太のスキルとスピードはJ3では抜きんでている。
前半から幾度となく相模原がチャンスを作るのだが、J3ともなるとその決定力がJ1より大きく劣る。
さらに、鳥取GKの高麗のファインセーブも飛び出し、相模原はなかなかゴールを決めれないまま試合が進んでいった。
前半30分過ぎに、福島が岩手相手に2点目を入れた時点で、J3全体の行方が決まる。
相模原ギオンスタジアムでは、この試合の勝利を渇望するサポーターが必至の応援をしているのは聞こえてくるのだけれど、小生はそこからとても遠いところにいた。
今年もあと30分というところで、鳥取はFW東條に代えて、長谷川アーリアジャスールをピッチに送り出す。
試合も終盤、このまま、スコアレスドローで試合終了となるかと思った矢先、高野遼がボールを持ちあがり放ったクロスは美しい弧を描き23歳伊藤の足元に落ちる。
伊藤の決定力も確かではあったが、この時の高野のクロスに鳥肌が立った。
マリノス在籍中に高野が最も得意としていたサイドチェンジで、そのテクニックはいまだ全く衰えていないと感じた瞬間。
相模原のゴール裏からの歓喜が冷めやらぬまま試合終了のホイッスルが鳴る。
これは、現役を去っていく長谷川アーリアジャスールへの手向けだった。
1ー0で相模原の勝利。
試合を終えた、長谷川アーリアジャスールは、高野や田代と笑顔で会話し、メインスタンドにこたえる。
最後の試合で敗退しながらも、彼のすがすがしさばかりがが画面から感じられたのは、あの高野の美しすぎるアシストに感じるものがあったからではないだろうか。
この記事へのコメント